家庭で急な介助が必要になると、誰しもが焦って上手く対応できないものです。そんな時に焦らず対応いただくための介助方法をご紹介します。
トイレ介助
できることはご自分でしていただき、できない部分のみ介助するようにしましょう。
気をつけたいpoint
- 自尊心を傷つけない
- 水分を摂取する(適度な運動や水分摂取は、自然排泄には欠かせません。)
- ご自分でできることを増やす
- 時間を決める
キホン1 「座る」力が残っている限り、便座に座って自分で排泄することができます。
歩くことができれば、杖や歩行器を使っていてもトイレに行くことができます。車いすを使っていても、立ち上がって便座に移動することができれば、トイレでの排泄が可能になります。
キホン2 排泄のチャンスを逃さないようにしましょう。
「したい時にすぐ排泄」が基本ですが、食事の後や外出の前など、1日のスケジュールの中の決まったタイミングで排泄する習慣をつければ、失敗の回数を減らすことができます。
排泄のサインを逃さない!
- 目がキョロキョロして落ち着かない
- ウロウロする
- 怒りっぽくなったり、急に不機嫌になる
- 腰をくねくねさせたり、ズボンなどを手でさわる。
排泄方法の種類と特徴
トイレ
足腰が弱い高齢者には、腰かけられる洋式がおすすめです。
- 引き戸の方が便利
- 転倒防止用の手すり、呼び鈴やブザーをつける
- トイレットペーパーは使いやすい位置におく
- 流水洗浄便座をつけたり、便座の保温をする
ポータブルトイレ
寝室等、トイレ以外の部屋に置ける持ち運びタイプの便器です。
- 便座とベッドが同じ高さだと便利
- 敷きマット、消臭剤、お手拭き、トイレットペーパー、呼び鈴などを準備する
便器と尿器
寝た状態で尿や便を受けることができる容器です。尿意や便意はあるものの、ベッドから起き上がれない方に向いています。尿器には男性用と女性用があります。
おむつ
いろいろなタイプがあります。ご本人の状態に合った適切なものを選びます。
- テープ止めタイプ
一般的な紙おむつです。テープ部分がマジックテープになっており、横漏れ防止のギャザーが入っているものや、蒸れ防止の通気性に優れたものも開発されています。 - パンツタイプ(履くおむつ)
車いすを使用されているお客様からトイレに間に合わない方などが使用します。簡単に脱ぎ履きができて、汚してしまったらサイドの部分を切り離し捨てることができるものです。 - パットタイプ
パットは、おむつ等の補助的な役割を果たしているものですが、軽く尿漏れをする場合に使用している方もいます。汚れたら直ぐに交換が基本です。 - 軽失禁用パンツ(パットと併用して使用します)
軽い尿失禁のある方に、パットと併用して使用するタイプです。男性用はブリーフ・トランクスタイプがあり、女性用でもショーツタイプやお腹を冷やさないようになっているタイプのものがあります。
食事介助
食事を口からきちんと食べることができれば、低栄養状態が改善されて寝たきり状態から活動できる健康を取り戻すことができます。
キホン1 食卓を整え、自分でたべられるように援助をしましょう。
食器は使いやすいものを使い、なるべく自分で食べられるように工夫します。
また、調理方法にも配慮が必要です。一口ずつきちんと咀嚼して食べられるようにしましょう。
キホン2 旬の食材を取り入れて食べたくなる工夫をしましょう。
栄養バランスも大切ですが、旬の食材を取り入れて、季節感を出しましょう。
本人の好みなどを優先し、たまには外食も活用すれば会話もはずみ、食べる意欲もわいてきます。
キホン3 一口量の目安
一度に口の中に入れる最大量は、「大さじ摺り切り一杯」が目安になります。少量ずつでも完全に飲み込まないうちに次から次へと口の中に入れると、結果的に口の中に沢山の食べ物がたまってしまうことがありますので、注意が必要です。
キホン4 食べる順番
栄養バランスも大切ですが、旬の食材を取り入れて、季節感を出しましょう。
本人の好みなどを優先し、たまには外食も活用すれば会話もはずみ、食べる意欲もわいてきます。
キホン5 ゆっくりと確実に飲み込む
「しっかりと噛んで確実に飲み込む」を繰り返します。本人のペースに合わせてなるべくゆっくりと食べてもらいましょう。
完全に飲み込んでから次の食物を口の中に入れるようにします。
食べやすい姿勢のpoint
- 食べ物の方を向く
- 背筋を伸ばし、前かがみの姿勢で
- 飲み込むとき顎は引き気味に
椅子に座って食べる
椅子は足底が床につく高さのものを選びましょう。足底がつかない場合は、足台などで工夫しましょう。
摂取中休めるように、背もたれや肘掛があるものを選びます。背もたれに寄りかかって反り返らないようテーブルに椅子を近づけて、背筋を伸ばしましょう。
テーブルを工夫する
椅子にすわった姿勢で、おへそのあたりの高さ(座面から約20~25㎝位)が良いと言われています。座面に座布団やクッションを敷いて高さを調節しましょう。また、座面が高くなると足底が床につかなくなりますので、足台を使い工夫しましょう。
ベッドの端に腰かける
できるかぎり足を下ろして座るように工夫しましょう。足を下ろすことで楽に座ることができ、お腹に余計な負担もかからなくなり、前傾の姿勢も取り易くなります。
テーブルは、体に近づけられるオーバーテーブルなどがおすすめです。テーブルの高さを調節して、高すぎないようにします。
また、椅子と同様に足底が床に着くようにします。着かない場合は、足台などを使用しましょう。クッションや背もたれなど準備して休める環境を作りましょう。
ベッドで食べる
高齢者の身体状況や希望に合わせて、ベッドのリクライニングの角度は、30~60度になるよう調整します。また、リクライニングを80~90度まで上げることで、背筋が伸び、食べるものの方をきちんと向く事ができます。このとき膝を伸ばしたままだと、座位の姿勢が安定せずにずり落ちてしまいますので、膝を少し曲げられるように、ベッドの下方の部分を少し上げましょう。
きちんと顎が引けず、顎が上がりベッドで後頭部を支えるようになってしまう場合は、誤嚥を防ぐためにも後頭部に枕やクッションを当てて顎を引く姿勢を取ります。
麻痺などのため自力での食事摂取が難しく、首が後ろに反ってしまう場合は、30度アップが良いと考えられています。むせを起こしにくく、気管への誤嚥を起こしにくくなります。この姿勢の場合も顎が上がらないように注意が必要です。きちんと枕をあてて顎を引く姿勢を保ち、膝も曲げると姿勢が安定します。
食事介助のpoint
- 前かがみの姿勢を保ち、横に座って下から食べ物を口に運びましょう。
横(利き手側)に座る(テーブルをはさんで直角に座る)
テーブルの高さや姿勢がチェックでき、食卓を同じ向きから見るので、気持ちを理解しやすくなります。介護者も同じもの食べながら介助すると、テンポもゆっくりになります。
下から持っていく
普段、自分がどのように食事をしているのかを考えながら、同じようにすることが大切です。
本人の希望を聞きながら介助するとコミュニケーションも取れます。
摂食・嚥下障害チェック
※このような症状があればかかりつけ医に相談してみましょう。
- 飲み込む前後や最中にむせる、咳き込む
- 食事中でなくても突然むせる、咳き込む
- 口から食物がこぼれる
- 飲み込んだ後に声がかれる
- 水分をとりたがらない(尿量が減る)
- 発熱を繰り返す(誤嚥性肺炎の疑い)
- のどや口の中に食べ物が残る感じがする
- 夜間、咳き込むことがある
- 食べるのに時間がかかる
- 体重が徐々に減ってきた
- 食べ物が喉につまって逆流してくる
転倒事故の防止
家のなかでも特に浴室は、転倒しやすく、また冬場の脱衣所と浴室の温度差や、お湯の熱さなどにより血圧が上昇し、虚血性心疾患や脳出血などが起こりやすいなど、危険多い場所です。
場所 | チェックするpoint |
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玄関 |
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廊下 |
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トイレ |
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脱衣所 |
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浴室 |
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階段 |
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